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親が認知症になると実家は売れなくなります|元気なうちにやっておく3つの手続き

親が認知症などで判断する力を失うと、たとえ家族であっても、親名義の実家を代わりに売ることはできなくなります。

▶︎関連記事:老人ホームの入居費用はいくら?実家の売却でまかなう場合の考え方と進め方

その状態で売るには、家庭裁判所に成年後見人を選んでもらい、さらに家庭裁判所の許可を得る必要があります。時間も手間もかかり、家族の思うとおりの時期・方法で売れるとは限りません。一方、親が元気なうちであれば、選べる備えがいくつもあります。この記事では、親の家の売却を考え始めたご家族に向けて、認知症と不動産売却の関係と、元気なうちにやっておきたい3つの手続きを、堺市南区野々井の不動産会社エルプラス株式会社が解説します。

なぜ、認知症になると家を売れなくなるのですか?

判断する力(意思能力)がない状態で結んだ契約は、法律上無効になるからです。 民法は「意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とする」と定めています(民法第3条の2)。

家の売買は、名義人である親ご本人が「売る」と決めて契約するものです。子どもが代わりに署名しても、親ご本人が内容を理解していなければ契約は成り立ちません。委任状を書いてもらう方法も、委任そのものが本人の判断を前提にしているため、判断する力がなければ使えません。

実際の取引では、売買による名義変更の登記の際に、司法書士が売主ご本人に会って売る意思を確認するのが通常です。この確認ができなければ、売買は進みません。

認知症と診断されたら、もう売れないのですか?

診断名だけで決まるわけではありません。売る時点で、ご本人が取引の内容を理解して判断できるかどうかで決まります。

認知症の初期で、日常の会話や判断に大きな支障がない段階であれば、ご本人の意思で売却できる場合もあります。ただし、判断する力は少しずつ、あるいは急に落ちていくことがあります。「まだ大丈夫」と思っているうちに機会を逃すことが少なくありません。物忘れが気になり始めたら、売るかどうかの方針だけでも早めに決めておくことをおすすめします。

判断する力を失ったあとは、どうすれば売れますか?

家庭裁判所に成年後見人を選んでもらい、その後見人が、家庭裁判所の許可を得て売ります。

流れは次のとおりです。

  1. 家庭裁判所に後見開始の申立てをする(親族などが申し立てます)
  2. 家庭裁判所が成年後見人を選ぶ
  3. 成年後見人が、住まいである実家を売る必要性を示して、家庭裁判所に許可を申し立てる
  4. 許可が出てから売買契約・引き渡し

住まいとして使っていた家(施設に入る前に住んでいた家を含みます)を後見人が売るには、家庭裁判所の許可が必要です(民法第859条の3)。許可なしに売った場合、その売却は無効になります。許可の申立てには、不動産会社の査定書などの資料を添えます。

知っておきたいのは、次の3点です。

  • 後見人は家族が選ばれるとは限りません。 2025年に選ばれた成年後見人などのうち、親族は16.4%で、83.6%は弁護士・司法書士などの親族以外でした
  • 時間がかかります。 申立てから審判までは、約7割が2か月以内、9割超が4か月以内です。そのあとに売却の許可の手続きが続きます
  • 売る理由が問われます。 売却は親ご本人の利益のために行うものです。「家族が管理しきれない」だけでは、許可が出ないこともあります

成年後見の申立ての動機で多いものの一つが不動産の処分で、2025年は全体の36.3%を占めています。家を売るために成年後見を使う家族は、それだけ多いということです。

成年後見制度は変わると聞きましたが、何が変わるのですか?

2026年6月に改正民法が成立し、「後見」「保佐」が廃止されて「補助」に一本化されます。施行は2028年12月までに予定されており、今はまだ従来の制度です。

改正のポイントは次のとおりです。

  • 本人に必要な範囲だけで支援する「補助」に制度を一本化する
  • 判断する力を欠く常況にある人には、重要な財産の行為について取消しができる「特定補助人」をつけられる
  • 判断する力が回復しなくても、制度を使う必要がなくなったと家庭裁判所が認めれば、利用を終えられる(これまでは原則として本人が亡くなるまで続いていました)
  • 任意後見について、家庭裁判所が直接監督できる場合を設けるなど、使いやすくする

施行日は「公布(2026年6月24日)から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日」とされています。改正後も、補助人などは家庭裁判所が選ぶしくみです。判断する力を失ってから家を売るには裁判所の手続きを経る必要があり、元気なうちに備えておくことの大切さは変わりません。

元気なうちにやっておく3つの手続きとは?

「家族信託」「任意後見契約」「元気なうちの売却または方針決定」の3つです。 どれも、親ご本人の判断する力があるうちにしかできません。

家族信託任意後見契約元気なうちに売る・方針を決める
内容親が家を子どもに託し、管理・売却を任せる契約判断する力が落ちたときに代わりに手続きする人を、親が自分で決めておく契約親ご本人の意思で売る。または売る時期・条件を家族で決めておく
契約の形信託契約(公正証書で作ることが多い)+信託の登記公証役場で公正証書を作成通常の売買契約
効力が出る時期契約したときから判断する力が落ちたあと、家庭裁判所が任意後見監督人を選んだとき—
売るときの家庭裁判所の関与原則不要。託された子どもが売主として売れる監督人の監督のもとで売る不要
向いている人将来の売却を家族に任せたい家だけでなく生活全般の手続きを任せたいすでに住み替えや施設入居が決まっている

1. 家族信託

親(委託者)が、実家の管理や売却を子ども(受託者)に託す契約です。信託の登記をすると、名義の上では子どもが管理者になり、親の判断する力が落ちたあとも、子どもが売主として家を売ることができます。売ったお金は、親のために使うお金として子どもが管理します。

契約の内容を自由に決められる反面、設計を誤ると思うように使えないことがあります。司法書士や弁護士など、家族信託に詳しい専門家に相談しながら作るのが一般的です。

2. 任意後見契約

親が元気なうちに「判断する力が落ちたら、この人に手続きを任せる」と決めて、公証役場で公正証書の契約を結んでおく制度です。実際に判断する力が落ちたら、家庭裁判所に任意後見監督人を選んでもらい、そこから効力が生じます。

後見人を親が自分で選べる点が、法定の成年後見との大きな違いです。家の売却だけでなく、預貯金の管理や介護サービスの契約など、生活全般の手続きを任せられます。

3. 元気なうちに売る、または方針を決める

施設への入居や住み替えがすでに見えているなら、親ご本人の意思で売ってしまうのがいちばん確実です。すぐに売らない場合でも、「施設に入ったら売る」「いくら以上なら売る」といった方針を家族で共有しておくと、そのあとの家族信託や任意後見の設計がしやすくなります。

親が住まなくなってから一定期間内に売れば、居住用財産の3,000万円特別控除が使えることもあります。この期限は冒頭の関連記事(老人ホームの入居費用)で詳しく説明しています。売る時期の選び方は、次の記事も参考にしてください。

▶︎関連記事:実家を売却する前に知っておきたいこと|タイミング・費用・親が元気なうちに済ませる手続き

認知症に備えた売却を、エルプラスに相談できますか?

できます。売却の時期や価格の見通しをお出しして、ご家族の備えの判断材料にしていただけます。

家族信託や任意後見を検討するとき、「その家がいくらで売れそうか」「いつ売るのが現実的か」が分かっていると、契約の内容を決めやすくなります。成年後見人が家庭裁判所に売却の許可を申し立てる際にも、不動産会社の査定書が必要です。

エルプラスでは、査定・売却のご相談に加え、売る前の片付け・ゴミの撤去・解体・庭の剪定まで自社で対応しています。親が施設に移ったあとの家の管理や片付けも、まとめてご相談ください。

よくある質問

親に「家を売る話」をどう切り出せばよいですか?

「売る」ではなく、「この家をこの先どうしたいか」を聞くところから始めると、話しやすくなります。親の希望を先に聞き、そのうえで固定資産税や管理の負担、施設の費用といった数字を一緒に見ると、判断が進みやすくなります。査定を受けて金額の目安を知ることが、話のきっかけになることもあります。

家族信託と任意後見は、両方使えますか?

使えます。家は家族信託で、預貯金の管理や介護の契約は任意後見で、と役割を分けて組み合わせる方法もあります。どちらが合うかは家族構成や財産の内容で変わるため、専門家に相談して決めてください。

親がすでに施設に入っています。いまからでも間に合いますか?

親ご本人の判断する力があれば、間に合います。施設に入っていても、ご本人の意思で売却したり、家族信託や任意後見の契約を結んだりできます。判断する力がすでに失われている場合は、成年後見の手続きを検討することになります。

成年後見人が選ばれると、家族は財産に関われなくなりますか?

財産の管理は成年後見人が行い、家庭裁判所に報告します。家族が親の財産を自由に使うことはできなくなります。家族が後見人に選ばれた場合も同じです。

堺市・和泉市・高石市で、実家の売却をお手伝いします

エルプラス株式会社は、堺市南区野々井に事務所を構える不動産会社です。 堺市・和泉市・高石市・南大阪エリアを中心に、近畿一円で不動産の売買仲介と自社買取を行っています。代表の辻 利規は、一般社団法人 大阪府宅地建物取引業協会 堺市支部の評議員を務めています。

  • 相談・査定は無料です
  • 仲介・買取のどちらも扱っています
  • 片付け・ゴミ撤去・解体・リフォーム・庭の剪定まで自社で対応します
  • 株式会社クーリエと提携し、介護施設探しのご相談にも応じます
  • 相談場所は、当社オフィス・ご自宅・ご指定の喫茶店など柔軟に対応します。オンラインや電話でのご相談も可能です

エルプラス株式会社

  • 所在地:〒590-0155 大阪府堺市南区野々井260-1
  • 電話:072-284-9406
  • 受付時間:10:00〜18:00(水曜定休)
  • メール:お問い合わせフォームにて24時間受付
  • 公式サイト:https://l-plus9406.com/

親御さんがお元気なうちのご相談が、選べる方法をいちばん多く残せます。

参考・出典

  • e-Gov法令検索「民法」第3条の2、第859条の3 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  • 裁判所「居住用不動産処分の許可」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_25_04/index.html
  • 最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況(令和7年1月〜12月)」 https://www.courts.go.jp/assets/20260316koukengaikyou-r7.pdf
  • 法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00410.html
  • 法務省民事局「成年後見制度に関する制度改正の状況について(令和8年7月)」 https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001721401.pdf
  • 厚生労働省「成年後見はやわかり 任意後見制度」 https://guardianship.mhlw.go.jp/?p=701